勘違いも捨てたもんじゃない

あれから特に痴漢には遭っていない。
特に課長の存在も、同じ車両に居るのかどうかも、気にかけない事にしている。もしかしたら本当に、知らないところで守ってくれているから痴漢に遭っていないのかも知れないけど、それも意識しない事にした。

会社に社長さんから電話がかかって来る事も無かった。連絡先は教えてしまった。だからといって、仕事中、携帯に安住浩雅と表示されブルブル震える事も無かった。
武蔵さんが突然部屋に来る事も無かった。

つまり、最近の私は、良くも悪くも平穏だという事。何やら濃くて騒がしかった数日が、あまりにも詰め込まれ過ぎていたのかも知れない。
…騒がしすぎた。何だか急に恋愛運でも上がったみたいに。今のこれが本来の私の日常だ。

…武蔵さんとの事はもしかしたら、本当に一夜限りの事だったのかも知れない。
好きという情熱的に湧き上がった好意がもたらした行為は、嫌じゃないからシた…あの瞬間だけ熱く求められただけだったのかも知れない。
……もしかして…この先があるとするなら、それはセフレとしてなのかも知れない…。

私から何も連絡をしないのは、連絡をする事で何かしら負担になりたくないから、そう思ってしない。会えなくても大丈夫よと言ってみせてしまうと裏を読まれるだろう。教えるべきものは伝えてあるもの…。部屋だって知ってる、いつだって居るからって伝えてある。
あ、…やっぱりそれがいけなかったのかな。最初から、よく知りもしない相手に、住まいや…まるで都合のいい女みたいに、いつでもいい、みたいな事を伝えたから…。はぁ、本当に…都合のいい女になってしまったという事かな…。

いつも時間が無いんだ。時間ができたら、まず自分を優先したいだろうから。私は、二の次三の次になって当たり前だ。……慰め?
だって言ってた。ずっと休みを要求するような日は送って無かったって。女性ともちゃんと付き合うのは煩わしいから、そんなのは無かったって…。
女性には困ってはいなかった。…という事かな。また元の生活パターンに戻ったって事でしょ…。
…自分の事は自分で責任を持つって私も言っちゃったし。

ブー、…。
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