ふたりで

お母さんが来た。

「真愛、痛い所はない?意識が戻って、本当によかった。」

嬉しそうに微笑んでくれる。

「喉がかわいたの。」

と言うと、お母さんは吸いのみで、水を飲ませてくれた。母の雰囲気や様子に、安心感を感じた。

でも、こーちゃんの顔を見れなかった。あの女の子との楽しそうな姿が頭の中でリフレインする。

私の怪我は、全身だ僕と、数ヶ所の打ち身ですんだ。バイクが、カーブを曲がったところだったので、スピードが余り出てなかったのが、幸いした。

幸や他の友達が、意識が戻って、お見舞いに来てくれた。私は重い気持ちを抱えながら、みんなに合わせて笑っているしかなかった。話は、全く入ってこなくても。

相変わらず、こーちゃんの目が見れない。きっと、彼の方も気がついている筈なのに、何も言わない。

私も、『あの子は、だれ?』と聞きたいのに、怖くて聞けずにいた。

後から思えば、早く聞いてればよかったと。でも、今の私には、その勇気が沸いてこない。

退院して4日後が、後期試験だった。私は、その4日が必死だった。休んだ分のつけがまわってきたのは、当然だ。

それから毎日が忙しく、試験中は、こーちゃんとも連絡を取りにくいままの状態が続いていた。

両親も
「こーちゃん、この頃来ないね。忙しいの?」と、心配してくれるが、私は、
「そうみたい。」
としか、答えられなかった。
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