ホテル王と偽りマリアージュ
「え……」


そうやって、一哉の反応を確かめている。
私と同様に大きく息をのんで絶句する一哉を確認すると、要さんは満足げに一哉にしっかりと向き合った。


「い、一哉! ごめん、ちゃんと言おうと思ってたの!」


私の口からちゃんと伝えようとしていたのに、突然の襲撃客の口から無情にも暴かれてしまう。


「ご、誤魔化し切れなくて、私……!」


一歩踏み出しながら言った私を制するように、要さんが目の前に立ちはだかった。
そして私に背を向けたまま、一哉に次の一言を畳み掛ける。


「椿さんから聞いて驚いたよ。昔から割と女の扱いはぞんざいなとこあったけど、まさか結婚相手まで偽装した挙句、こんなに泣かせるほど傷付けるとはね」


要さんの言葉はどこかニュアンスが大きく歪曲されているけれど、大筋では間違っていない。
だから私も一瞬反論に困り、言われた一哉も凍り付いたように立ち尽くしたまま、ギリッと奥歯を噛み締めた。
そんな中、要さんは我が物顔で大きく胸を張った。


「こんなに純粋なお嬢さんを騙して巻き込んで、その挙句泣かせる男って最低だよ、一哉。これで俺も決心出来た」


高らかに宣言するような要さんを、私は思わず見上げていた。


「一哉、俺はアメリカのホテル、諦めない。お前から社長の座を奪ってやる」

「なに……?」
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