ホテル王と偽りマリアージュ
「一哉、すごい! すごい綺麗!! なんか、宝石の道を歩いてるみたい!!」


あまりに美しく幻想的な街の光に、興奮が抑えられない。
子供みたいに歓声を上げる私に、一哉は肩を揺らして笑った。


「よかった。そこまで喜んでくれると、連れてきた甲斐があった」

「ありがとう! わああ……私、こんな素敵な夜景、初めて見た!」


自分の声に更にテンションが上がり、はしゃぎ出しそうになる私に、一哉は言葉通り嬉しそうに微笑む。


「ほんと、椿の反応っていいね。彼女の喜ぶ顔が見たくて、サプライズ仕掛ける男の気持ちがよくわかる」


小気味よくクックッと声を漏らす一哉を、私はそっと振り返る。
彼は私の視線を受けて、わずかに小首を傾げた。


「椿の満面の笑顔って、ほんと、堪らない」

「そ、そう……?」


言葉もどこか意味深だけど、それ以上になんだか一哉の雰囲気が違うような気がする。
このロマンチックなムードのせいか。
それとも周りのカップルたちが公然とイチャイチャしてるせいか、どこかいつも以上に色っぽく見える。


そんな一哉にドキドキしながら、眼下に一望出来るマンハッタンの街を彩る光のイルミネーションに、私はもう一度視線を落とした。
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