ホテル王と偽りマリアージュ
ほとんどガラスに張り付くように立つ私に、一哉が一歩踏み出してきて隣に並ぶ。
なんとなく無言になって、同じように目を伏せ夜景を眺めた。
「椿。仕事、片付いたよ」
どれくらいの沈黙の後か、一哉が静かにそう言った。
頭上から降ってきたその言葉に、私はゆっくり彼を見上げる。
「ほんと?」
「うん。本当は年明けもうちょっと詰める必要あるかなって思ってたんだけど。君のおかげで、早く仕上げることが出来た」
一哉はどこかホッとしたように穏やかな瞳で私を見つめているけれど、私は曖昧に首を傾げた。
「椿?」
「あ、ごめん。そう言ってくれるのは嬉しいんだけど……私、なにも役に立ってないし」
謙遜にもならないくらい、本当のことだ。
私は日本の仕事を片付けてニューヨークに来ただけ。
一哉の仕事そのものに、なにも貢献出来てないのは間違いない。
「毎日一哉と一緒に起きて、見送った後は美術館巡りして、仕事上がりの一哉と合流して食事して、一緒にホテルに戻って……」
ここ数日の私がしてきたのは、本当にそんなことだけ。
自分で言っていても本当になにしてたんだろう、と思うし、ちょっとへこむ。
なんとなく無言になって、同じように目を伏せ夜景を眺めた。
「椿。仕事、片付いたよ」
どれくらいの沈黙の後か、一哉が静かにそう言った。
頭上から降ってきたその言葉に、私はゆっくり彼を見上げる。
「ほんと?」
「うん。本当は年明けもうちょっと詰める必要あるかなって思ってたんだけど。君のおかげで、早く仕上げることが出来た」
一哉はどこかホッとしたように穏やかな瞳で私を見つめているけれど、私は曖昧に首を傾げた。
「椿?」
「あ、ごめん。そう言ってくれるのは嬉しいんだけど……私、なにも役に立ってないし」
謙遜にもならないくらい、本当のことだ。
私は日本の仕事を片付けてニューヨークに来ただけ。
一哉の仕事そのものに、なにも貢献出来てないのは間違いない。
「毎日一哉と一緒に起きて、見送った後は美術館巡りして、仕事上がりの一哉と合流して食事して、一緒にホテルに戻って……」
ここ数日の私がしてきたのは、本当にそんなことだけ。
自分で言っていても本当になにしてたんだろう、と思うし、ちょっとへこむ。