ホテル王と偽りマリアージュ
「私、ちゃんと契約守ってるよね。だから戸籍汚してまで一哉と結婚したんじゃない!」
「でも、形だけの結婚だってバレちゃあ意味ないんだよね。俺もちゃんと契約の条件に挙げといたじゃないか。『人前では愛し合う夫婦のフリをする』って」
一哉は不敵な瞳を私に向けてくるけれど、そこに飲まれちゃいけない。
そんなこと、言われなくてもわかってる。
同じ家で一緒に暮らしていても恋愛感情、夫婦生活のアレコレは一切なし。
人前でだけ、夫婦の演技をすればいい。
だから私だって頑張ってるつもり。
唇を尖らせて『それがどうした』とばかり無言の抗議を見せる私に、一哉は大きく肩を落とした。
「少なくともね。あれだけ力強く初夜を否定されちゃうと、『愛し合ってる』ようには見えないと思うんだよね、俺」
「え」
「それどころか、夫婦の実態がないことも暴露される気がしてきた。ここまできたら、もう椿の演技力以前の問題かな……」
最後は思案するように呟き、再び視線を横に流す一哉に、鼓動がドキドキと嫌なリズムで高鳴り始めた。
そんな。どうしよう。
本当に戸籍を汚したって言うのに、その上賠償金吹っ掛けられたら、私は今すぐにでも、このバルコニーから身を投げなきゃいけなくなっちゃうじゃないの。
「でも、形だけの結婚だってバレちゃあ意味ないんだよね。俺もちゃんと契約の条件に挙げといたじゃないか。『人前では愛し合う夫婦のフリをする』って」
一哉は不敵な瞳を私に向けてくるけれど、そこに飲まれちゃいけない。
そんなこと、言われなくてもわかってる。
同じ家で一緒に暮らしていても恋愛感情、夫婦生活のアレコレは一切なし。
人前でだけ、夫婦の演技をすればいい。
だから私だって頑張ってるつもり。
唇を尖らせて『それがどうした』とばかり無言の抗議を見せる私に、一哉は大きく肩を落とした。
「少なくともね。あれだけ力強く初夜を否定されちゃうと、『愛し合ってる』ようには見えないと思うんだよね、俺」
「え」
「それどころか、夫婦の実態がないことも暴露される気がしてきた。ここまできたら、もう椿の演技力以前の問題かな……」
最後は思案するように呟き、再び視線を横に流す一哉に、鼓動がドキドキと嫌なリズムで高鳴り始めた。
そんな。どうしよう。
本当に戸籍を汚したって言うのに、その上賠償金吹っ掛けられたら、私は今すぐにでも、このバルコニーから身を投げなきゃいけなくなっちゃうじゃないの。