ホテル王と偽りマリアージュ
食器の片付けを終えると、ワインに合うおつまみを準備してリビングに戻った。
テーブルの上には二本目のボトルが開けられていて、一哉の姿はなく、要さんが一人でグラスを揺らしていた。
一哉が好きなチーズや、クラッカーのオードブルを盛った大皿をテーブルに置くと、「ありがとう」と要さんが私に言った。
返事の代わりに笑顔を向けながらソファに座る。
要さんが二本目のワインを私のグラスに注いでくれた。
「あの、一哉は?」
お礼を言ってからグラスを手に持つ。
傾けてみると、さっきのキャンティよりも強い渋みを感じるワインだった。
「仕事の電話が掛かってきてね。真ん中の部屋に入って行ったよ」
そう言われて、ほとんど無意識で、真ん中の部屋の閉ざされたドアを見遣る。
そこは一哉の書斎だ。
「ねえ。椿さんと一哉の馴れ初めって、俺あんまり詳しく聞いてないんだよね。聞いていい?」
視線を正面に戻すと、要さんが私に訊ねてきた。
この手の話は聞かれることも想定して、最初から用意してあった。
実際、一哉が彼のご両親にだいぶ盛って話すのも、隣で聞いていた。
だから私が聞かれても、それほど困る質問ではない。
テーブルの上には二本目のボトルが開けられていて、一哉の姿はなく、要さんが一人でグラスを揺らしていた。
一哉が好きなチーズや、クラッカーのオードブルを盛った大皿をテーブルに置くと、「ありがとう」と要さんが私に言った。
返事の代わりに笑顔を向けながらソファに座る。
要さんが二本目のワインを私のグラスに注いでくれた。
「あの、一哉は?」
お礼を言ってからグラスを手に持つ。
傾けてみると、さっきのキャンティよりも強い渋みを感じるワインだった。
「仕事の電話が掛かってきてね。真ん中の部屋に入って行ったよ」
そう言われて、ほとんど無意識で、真ん中の部屋の閉ざされたドアを見遣る。
そこは一哉の書斎だ。
「ねえ。椿さんと一哉の馴れ初めって、俺あんまり詳しく聞いてないんだよね。聞いていい?」
視線を正面に戻すと、要さんが私に訊ねてきた。
この手の話は聞かれることも想定して、最初から用意してあった。
実際、一哉が彼のご両親にだいぶ盛って話すのも、隣で聞いていた。
だから私が聞かれても、それほど困る質問ではない。