ホテル王と偽りマリアージュ
実際私もただ見上げていただけだし、一哉も慌てた様子もなく、麻里香さんを自分から引き剥がしながら苦笑している。
「一哉は私のものだから、いい気にならないでねって忠告に来たの。この人に」
麻里香さんはどこか高揚したような口調で、一哉を見上げながら胸を張った。
その内容だけならドロドロの修羅場みたいなセリフなのに、一哉は「へえ、そうなんだ」と、結構ドライにスルーした。
私もこの機に乗じて立ち上がる。
「麻里香さん、ご忠告ありがとうございます。では、私そろそろ仕事に戻りますね」
そう言って、二人にペコリと頭を下げた。
顔を上げると、一哉が私に手を立てて謝る仕草を見せていた。
それには首を傾げて応じながら、クルッと踵を返してラウンジの出入口に向かう。
背後から、ボソッと不満げな声が聞こえてきた。
「なあに、あの人。平気なフリしちゃって。ほんと、図太い庶民ってムカつく」
――嫉妬して掴み掛かってあげるべきだったのかもしれない。
でも、明らかに一哉自身が全く相手にしてないのがわかりきってるのに、ムキになる方が白々しいし大人げない。
相手にする方が茶番だと思った。
それに。
一哉に恋する女の子に嫉妬するのは、契約上、私の役割ではない。
「一哉は私のものだから、いい気にならないでねって忠告に来たの。この人に」
麻里香さんはどこか高揚したような口調で、一哉を見上げながら胸を張った。
その内容だけならドロドロの修羅場みたいなセリフなのに、一哉は「へえ、そうなんだ」と、結構ドライにスルーした。
私もこの機に乗じて立ち上がる。
「麻里香さん、ご忠告ありがとうございます。では、私そろそろ仕事に戻りますね」
そう言って、二人にペコリと頭を下げた。
顔を上げると、一哉が私に手を立てて謝る仕草を見せていた。
それには首を傾げて応じながら、クルッと踵を返してラウンジの出入口に向かう。
背後から、ボソッと不満げな声が聞こえてきた。
「なあに、あの人。平気なフリしちゃって。ほんと、図太い庶民ってムカつく」
――嫉妬して掴み掛かってあげるべきだったのかもしれない。
でも、明らかに一哉自身が全く相手にしてないのがわかりきってるのに、ムキになる方が白々しいし大人げない。
相手にする方が茶番だと思った。
それに。
一哉に恋する女の子に嫉妬するのは、契約上、私の役割ではない。