女の子として見てください!
翔さんはなにも言わず、私の手を引いて、ただズンズンと大股で廊下を歩いていく。
どこに向かっているのかもわからない。
でもそんなことより、なにも言ってくれない、顔も見せてくれない翔さんに不安になる。


「っ、翔さん⁉︎」

思い切って声をかけると、翔さんはハッとしたように立ち止まって、私から手を離した。
私に背を向けたままだったから表情はよく見えなかったけど、私を連れ出したこの行動が突発的なものだったのかな、となんとなく思った。

って……それじゃまるで……。


「松城」

翔さんが身体をこちらに向けて私の名前を呼ぶけど。


「っ、わかってますよ⁉︎ ヤヤヤヤキモチなんかじゃないってことはー‼︎」

と、わけのわからないことを叫んでしまった。


翔さんはキョトンとしている。

そ、そりゃそうだ。ヤキモチじゃないなんて当然だ。一瞬でも『まるでヤキモチみたいだ』なんて思った私がバカだ。


だけど、翔さんは。


「……自分でも忘れてた」

「え? なにをですか?」

「自分が、すぐに嫉妬すること……。この間も、高校生に嫉妬したばかりだった……」

「ん? なんですか? 聞こえません」

翔さんの声が小さくて、なにを言っているのか聞こえない。いつもハキハキしている翔さんらしくない。
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