女の子として見てください!
翌朝。

少し早めに出勤すると、予想通り、そして期待通り、部署には翔さんの姿があるのみだった。

翔さんはいつも一番に出勤してきて、デスクを仕事をしている。

私は、昨日のことを謝りたくて、翔さんがひとりでいるこの時間帯に出勤してきた。


「翔さん、おはようございます!」

私はあいさつをしながら、翔さんのデスクの横に立つ。


「翔さん、昨日はごめんなさい。急用が入っちゃって……」

「……」

「ほかの日だといつ空いてますか? 私はいつでも空いてます! もし今日空いてるようなら、今夜――……」

言葉の途中で、私は思わず言葉につまってしまった。

翔さんが私を見る視線が、すごく冷たく感じてしまったから。


怒ってる?



「翔さん……?」

おそるおそる彼の名前を呼ぶと、彼は言った。

「職場で名前で呼ぶなって何回言ったらわかるんだ」

「あ……ごめんなさい」

ほかに誰もいなかったのもあって、つい『翔さん』って呼んじゃってた。誰が聞いてるかわからないし、気をつけないとだよね。

でも、それにしてはやけに怒ってるような気がする。名前を呼んだくらいでここまで怒る?
翔さん、きっとほかのことで怒ってるんだよね?

私が昨日、約束をドタキャンしたから?
いやいや、私との食事がなくなったくらいでここまで怒るかな?それに、ドタキャンしたとはいえ、昨日翔さんからのLINEでは【わかった】って返ってきたし……。


やっぱり、昨日私、なにか怒らせてたのかな?



「かけ……伊浅さん、すみません。私、伊浅さんになにかしてしまったんですよね? でも、考えてもなにをしたのかわからなくて……。謝りたいので、教えてくれませんか」

すると、翔さんは。
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