エリート専務の献身愛
月島総合病院でのスケジュールをどうにか終え、総合受付を横切って出口に向かう。
夕方の時間はほとんど外来は終了していて、ロビーは広いだけにとても静かに感じる。
人が少ないロビーを眺めて出口に足を向けていると、正面から小気味のいいヒール音が聞こえ顔を戻した。
三、四メートル前にいた彼女に、ひと目で意識を奪われる。
透き通るような白い肌に軽やかに揺れる黒髪。顔が小さいとか、スタイルがいいとかいうのもあるけれど、それよりもなにも。
……目が碧い!
気づいた瞬間に、彼女は私とすれ違っていく。
彼女が通った後は、微かにバラの香りがした。
背も高い。私と同等か、もしかしたら彼女の方が高いかもしれない。
思わず振り返り、視線を送り続けてしまう。
ダークグレーのスーツを着こなした彼女のスタイルは抜群。
それにしても、美しい瞳の色だった。きっとハーフなんだろう。
よそ見をしたまま外に出ていた私は、うっかり来院患者さんに肩をぶつけてしまった。
「すっ、すみません」
何度も頭を下げる私に患者さんが会釈をして病院へ入っていく。
それを見届けてながら、僅かに顔を顰めた。
ぶつかった時に動揺して、足のバランスを崩してしまった。
そのせいで靴擦れの傷がさらに痛みを増している。
あぁ、ドジ。ボーッとしていたのも、昨日用意していた絆創膏を忘れてきたことも。
一日の疲れがどっと出て、思わず「はあ」と大きな息を吐く。
「城戸瑠依さん」
気を抜いていた矢先、フルネームで声を掛けられ瞬時に背筋が伸びた。
取引先の相手とばかり思い込み、慌てて表情を引き締めて振り返る。
すると、思いも寄らない人がそこにいて、思わず目を剥いて固まってしまった。