エリート専務の献身愛
翌朝、先に目を覚ましたのはやっぱり私だった。
朝食を作って、由人くんが起きるのを待つ。
一時間経っても起きる気配がなくて、迷いながらも声を掛けた。
「由人くん。起きないの? 朝ごはん冷めちゃった」
「ん~……今、何時?」
「九時半過ぎたところ」
「九時半!? まだ寝れるじゃん。あと一時間したら起こして」
不機嫌な口調で言うや否や、掛け布団を被ってしまった。
仕方なく、冷めた朝食をひとりで食べる。
それから、いつでも出かけられるように身支度を済ませた。
それでも時間が余り、資料でも眺めようかと床に置いていたカバンを引き寄せる。
クリアファイルを抜き取った時に、なにかがひらひらと舞い落ちた。
「あ……」
ひと目見て、彼から預かった搭乗券だとわかる。
そっと拾い上げ、改めて見て夢ではなかったのだなと思った。
彼は不思議な人だ。
すごく強引なのに、嫌悪感を抱かせない。
それは、あの秀でた容姿のせいだろうか?
健康的な肌色に真っ黒な髪。二重瞼の瞳も艶のある髪と同じ色。
凛々しい眉からは知的な印象を受け、長身でスタイルもよく、手指までもが綺麗だった。
なにより、雰囲気が今まで会ったことのある男の人とは少し違った気がする。
あんなに堂々と、真っ直ぐ目を見て話す人は、いそうでいない。
アメリカ育ちだからかな?
きちんと自分を持ち、責任感のありそうな感じは。
両手で持った搭乗券をジッと見つめていたら、ベッドから着信音が聞こえてきて肩を上げた。
咄嗟に搭乗券をファイルの下に隠す。