エリート専務の献身愛
「どうするの、これ……」

 ラップをかけた朝食に目を向け、小さな溜息をひとつ吐いた。

 先約は私だった。
でも、私の都合で買い物に行こうって流れになった気がする手前、無理矢理付き合わせる気にもなれなくて。

 仕事でもよく言葉を飲み込んだりして、自分の気持ちをセーブすることに慣れてしまっているのかも。

 あぁ。久々に、美味しいランチでも食べたかったな。

 私は、いわゆる〝おひとりさま〟ができないタイプだ。
 仕事中は仕方なくひとりでお昼をとったりするけれど、休日に進んでひとりを満喫するようなことはない。

 買い物くらいはできるけれど、食事となると……。
 できれば、誰かと楽しく過ごせたらそれが一番理想だ。

 となると、お昼は……。

 もう一度、食べてもらう当てのなくなった朝食をどんよりした顔で見る。

 あーあ。なんだか出端挫かれたな。せっかく化粧もして出掛ける気だったんだけれどな。
今日はもう何もかもやめて、家でゴロゴロしていようか。

 ふたり掛けソファの上で体育座りをし、天井を見つめた。

 あ。でも、靴屋さんには行かないと。
 月曜からまた仕事だし、なにか対処しなきゃ足が持たないし。

 面倒になっていたけれど、行かなければならないことに気がついて、いっそう大きな溜め息が出る。
 すると、ほぼ同時に携帯のバイブ音がどこからか聞こえてきた。

 微かに聞こえる音を頼りに携帯を探す。

 ローテーブルの下に携帯を見つけ、昨日慌てて寝たから落としてそのままだったのかと納得しながら拾い上げた。

 手の中で振動は続いていて、画面をみると、登録外の携帯番号が表示されている。
 土曜だから営業先からではないと思いつつ、姿勢を正して携帯を耳にあてた。
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