エリート専務の献身愛
 俯いていると、影に覆われて顔をバッと上げた。

「驚いたな」

 それは私も同じ言葉が頭に浮かんだ。

 こっちは驚きすぎて心臓が止まりそうになったくらい。
だけど、あさみさんは『驚いた』というわりに、そんな顔全然してなくて、うれしそうに笑っている。

 油断していたらいつの間にか存在に気づかれていたみたい。

 私服姿をチラッと盗み見て、顔を横に逸らした。
 右手で左腕を触りながら、落ち着かない気持ちでつぶやく。

「だ、だって、あなたが『待ってる』なんて言うから……」
「ああ、いや。近くまで来たら電話でもくれるのかと思っていたのに、ここまで来てくれたことに驚いた」

 彼の声が、顔を見ずとも本当にうれしそうということがわかる。
 だから、つい、誘われるように見上げてしまった。

「休日は髪をおろしてるんだね」

 なんでドキドキしているんだろう。こんなのだめなのに。

 きっと、今まで周りにいないような美形の人が目の前にいるから、とかそういう理由だ。

 自分に言い聞かせながらも、しっかり彼の微笑に目を奪われている。

「とりあえず出よう」

 私はカップをさげるあさみさんを落ち着かない気持ちで見ていた。

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