エリート専務の献身愛
「女が必死になる姿って、滑稽なんだよ。男のこと、バカにしてるように見える」
「そんなつもりじゃ……っ」
「今日だって、俺が約束破っても取り乱しもしないし。ほかの女といても、それに対しては平然としてるみたいだし。そんな女、可愛いなんて思えるわけないだろ」

 男の人を負かそうだなんて思ってない。
 私はただ、パッとしない自分をどうにかしたくて……自立したかっただけで。

 可愛くないって言われたら確かにそうかもしれないけれど、私だって今、ものすごく取り乱してるし、本当は足が震えるほど動揺してる。

 足元がぐらついて、立っているのもやっと。

「俺は、もっと単純に付き合いを楽しみたいんだよ」

 なのに、私をさらに由人くんは追い詰める。

「毎日大変そうに思わせて、実は大した仕事もしてないんじゃないの?」

 昔からそうだった。

 私は、努力しても結果になかなか結び付かない。
 頑張っていることすら気づいてもらえない。

 じゃあ、どうやって認めてもらえばいいの?
 どうしたら、この苦しみから解放されるの……?

 由人くんを見たまま、唇すら動かせなかった。
 これ以上なにか言われたら、きっともう立ち直れない。

 早くここから離れなくちゃ。
 もう彼とのことは吹っ切って、忘れて、明日からまた前を向いて歩かなければ……。

 頭で懸命に思っていても、身体がいうことをきいてくれない。

「自立しようとしている女性のサポートすらできない男が、彼女を貶すなんて、それこそ滑稽だな」

 後ろから聞こえた声に、術が解けたように身体が動いた。
 ゆっくり振り返ると、私たちを静観していたらしい浅見さんが由人くんをジッと見ている。
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