エリート専務の献身愛
「オレの顔になにかついてる?」

 不意に視線が合ってドキリとする。

「あ、いえ。楽しそうだなぁ……と」

 しどろもどろとしながら答えると、浅見さんは頬杖をついて口元を緩めた。

「楽しいよ。初めに言ったように、ずっとホテルの食事っていうも飽きてしまうし、色々興味はあったから。焼き鳥もその中のひとつ」

 年上であることは間違いないのに、こういう気さくなところがつい親しみやすく感じてしまう。

「スーツを着ているのに、まるで観光している人みたいですね」

 だから、失礼かもしれないけれど、思わずそう言って笑った。

 初めて会ったときから思っていた。
 スーツを着ているのに、どこか社会人のように思えない自由さを感じていた。

 それはべつに、チャラチャラしていそうとか、まだ学生っぽいとかそういうことではない。
 あくまで、彼の魅力のひとつとして思ったこと。

 私はクスクスと笑って、下げていた目線を上げた。すると、浅見さんは私を見て、どこか満足そうに微笑んだ。

「あっ……すみま――」
「オレが楽しそうに見えるって言うなら、その一番の理由は、瑠依と一緒にいるからだよ」

 彼は大きな手に顎を乗せ、少し顔を傾ける。

 ニコリと微笑を浮かべる表情が、男性なのに可愛らしくもあり、そしてどこか色っぽい。
 同じ人なのに、本当にいろんな顔をするから、つい何度もドキリとさせられる。

 口説き文句のような言葉を聞いて、途端に落ち着きがなくなった。
 私は、そわそわと視線を彷徨わせ、声を上ずらせる。

「あのっ、浅見さんは、お仕事でこちらに来たんですよね……?」
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