エリート専務の献身愛
お店を出た時は、もうすぐ日付が変わるというところ。
明日も仕事ではあるけれど、あのまま帰宅しているよりは全然いい。
「今日はありがとうございました。気分転換になったし、美味しかったし、誘っていただけてよかったです。だけど、本当にいいんですか……? この間もごちそうになったのに……」
「瑠依は甘え下手だな」
「いえ、それとこれとはまた違うかと……」
浅見さんは今回もやっぱり支払いには応じてくれなくて、どうも落ち着かない。
思えば、学生の頃に付き合っていた相手とは初めから割り勘だった。
社会人になってから唯一の彼氏だった由人くんも、飲み物くらいは払ってもらったことはあったけれど、外食や出かけるときの費用なんかはちゃんと半分ずつにしていたから。
「同じだよ。仕事ならまだしも、オフのときくらい誰かに甘えないと。そうだ。まずはオレに甘えられるようになればいい。そうしたら、なんでも自分で背負い込むような性格が少し変わるかもしれない」
浅見さんに甘えるだなんて、あまりにハードルが高すぎる。
そう思って目を丸くしていたら、浅見さんは辺りを見回し始めた。
「タクシー捉まるかな」
平日だから空車はあるだろうけれど、今立っている道にはタクシーは見当たらない。
「もう少し大通りまで出たらすぐ捉まりますよ、きっと」
私は先導するように大きな通りまで歩き進める。手を上げるとすぐにタクシーが停まった。テキパキと開いた後部ドアに手を添え、浅見さんを促す。