エリート専務の献身愛

ほぼ、予定通りに病院を訪問し終え、会社に戻ったのは夜の七時前。

肩に掛けていたカバンをドサッと下ろし、「ふー」と息を吐く。久方ぶりに椅子に座ったのも束の間、カバンの中から手帳を取り出した。

そうだ。お弁当をもう発注しておかなきゃ。笹川先生、なんて言ってたかな?

手帳をパラパラ捲り、メモしたページを探し出す。走り書きした字を見つけ、すぐさまパソコンに打ち込んだ。

「……え?」

 無意識に声が出てしまった。
 画面に顔を近づけ、何度もスクロールを繰り返しては確認する。

 ここのお店って、都内じゃないの? それに、金額があまりに高すぎる!

 唖然としてサイトを眺め、冷や汗が流れ始める。

 ここまで配達してくれるかどうか。いや、その前に、サイト上のメニューじゃ、予算を軽くオーバーしてる。仮に予算内に収めるように交渉したって、見栄えが悪くなるのは確実だ。

 頭の中は『どうしよう』という言葉だけがぐるぐる回る。
 私は唇を噛んで俯いた。

 やっぱり、私なんかが一朝一夕には真似できるわけがなかったんだ。
 浅見さんの言葉を思い出して、自分の不甲斐なさに落ち込む。

 いまさら、『用意できません』って言えないよ。だって、あんなに機嫌いい笹川先生を初めて見たし……。でも、じゃあどうすれば……。
 差し迫った説明会のことだから、この件を後回しにすることなんかできない。

 その後もしばらく色々と考えたり調べたりしたものの、解決策は出なかった。


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