エリート専務の献身愛
 気づけば穴が開くほどジッと見つめていると、浅見さんが手を離し、吹き出すように笑った。
 ここ、笑うところだろうか?と不思議な気持ちで彼を見る。

「ああ、ごめん。やっぱりなーと思って」

 目尻に皺を作る笑顔に見惚れる。無邪気な笑い顔からは彼のすごい肩書きとか忘れさせてしまう。

「第一印象と変わらない。瑠依は言葉も眼差しも、いつも真っ直ぐだな。綺麗なのは瞳だけじゃなく心もだ」
「えっ。真っ直ぐなのは、浅見さんじゃないですか。芯があるのを感じて、羨ましく思います」

 いつも迷ってばかりの私は、しっかりした意思を持っていそうな浅見さんにどうしても惹かれる。
 浅見さんは口角を上げ、手にしていたコンビニの袋を私に差し出した。

「褒めてくれたお礼にこれあげる。って、大したものじゃないけど。天むすと味噌焼きおにぎりだって。地域限定のおにぎりなんて展開されていて興味をそそられたんだ」
「そんな、お礼って! これ、浅見さんの夜食なんじゃないんですか? それに、こっちのほうがいつも助けられて、私こそなにかお返ししたいくらいです」

 やや強引に手に渡された袋を返そうとするも、当然受け取ってはもらえない。
 もらってばかりで困ったな、と視線を彷徨わせていると、突然言われる。

「うーん。じゃあ、またデートして」
「え……」

 顔を上げたのと同時に、浅見さんの右腕が私をグイッと引き寄せた。
 軽く抱かれたまま、頭上に落ち着いた声が落ちてくる。

「仕事、きっとうまくいくように祈ってる」

 それは、頭のてっぺんから降り注がれた魔法のよう。

 本当、不可思議。どんな窮地に立たされていても、浅見さんの言葉だけでどうにかなる気がしてしまうのだから。
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