人事部の女神さまの憂いは続く

「俺ね、クレバーな子が好きなんだよね」

行き先を告げた後に、唐突にそんなことを話し出した。

食事中とは違って、”俺”って言ってるし、さっきみたいな砕けた話し方だ。どうゆうことなのか、わからず首をかしげて様子を伺っていると

「だからね、藤木とは好み、かぶることなかったんだよね。あいつが珍しく大事にしてる子だから、ちょっと興味わいたんだけど。意外だよ、ゆりちゃん」

そう話す波木社長はとっても楽しそう。

でも、こちらとしてはため息のひとつでも吐きたいところ。

今日、波木社長に会う前にどうしようかと頭を悩ませたことがあった。

藤木さんと結婚してること、波木社長は知ってるんだろうかって。そして波木社長はどういうつもりで今日私を誘ったのか。

悩んだ末に、こちらからは何も言わず波木社長の反応に合わせようと決めたのだ。

結婚して、もうすぐ3か月。家族とか会社の人には知ってるけど、特にお披露目とかもしていないので結婚したことを言っている人の方が少ない。

だから波木社長が知らなくても、そんな不思議なことでもない。

< 134 / 399 >

この作品をシェア

pagetop