人事部の女神さまの憂いは続く
「なぁ、あいつのいきそうなとこ知らない?」
「さぁ。明日、会社には行くんじゃない?」
香織の冷たい言葉に、やっぱり見つからないかとショックを受けていると、はい、と大輔がコーヒーを置いてくれた。
「あ、ビールの方がよかった?」
「いや、車使うかもしんないから。サンキュ」
そう言ってカップを手に取った俺に2人の冷たい視線が突き刺さる。
「で?なんでニシユリ、家出なんてしてんの?」
まぁ、そうだよな、と思いながら口を開いた。
「ちょっとケンカ、というか怒らせちゃって」
「ちょっと怒らせただけで、家出?ゆりが?」
さっき以上に不機嫌な声を出す香織に居心地が悪くなるものの、この際全部話してみようと思う。
「飲み会で女もいたとこに、たまたまニシユリも来て。なぜか、あいつSMHの社長と一緒で、しかも口説かれてて。俺イラついて、自分のこと棚に上げてあいつ責めちゃったんだよ」