人事部の女神さまの憂いは続く

「真人さん。こいつの腕も俺のなんで、他の男のものなんてはめさせませんよ」

そう言って時計を真人さんにつき返している。藤木さんの口から出る“俺のもん”という言葉が嬉しくて、ふふふと笑っていると

「えー。いいじゃん。じゃあ、別の改めて贈るよ」

どこまでもめげない波木社長。それに対して

「ほんと、勘弁してください」

さっきから同じ言葉を繰り返す藤木さんに語彙力ないなーなんて心の中でツッコミをいれていると

「でさ、そんなゆりちゃんに提案があるんだけど」

さっきまでのふざけた口調でなくって、まじめに話始めた波木社長。

その顔が凛々しくて、ちょっとドキッとしてしまったのは内緒だ。

「うちの会社に来ない?実は原田を今度、経営企画室に上げようと思ってて原田の後を任せられる子探してたんだよ。ゆりちゃんだったら、人事全体の責任者任せられると思ってんだけど」

思っても見なかった内容にびっくりして波木社長を見ると、経営者の顔になっている。

私も咄嗟に姿勢を正して、続きを聞いた。

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