人事部の女神さまの憂いは続く

たしかに海が目の前だし、ガーデンの緑もキレイなんだけどな。

隣にたっている藤木さんを見上げても、ぐるっと海の方をみわたしているけど特にコメントはないようだ。自分で連れてきたくせに、あんまり興味のなさそうな様子に苦笑いをこぼしつつ

「素敵ですね」

お姉さんに相槌を打ってみるけど、それ以上言葉が続かない。

そんな気のない私たちの様子に気付いたのか、お姉さんは一通り館内を案内してくれた後に

「もしよかったら、こちらでイメージ膨らませてみてください。また、お待ちしてますね」

パンフレットとDVDをお土産として渡してくれた。


そしてランチしにはいったカフェで藤木さんに聞いてみる。

「さっきのとこ、どうでした?」

「んー、いいんじゃね?お前は?」

あんまり考えてもないそぶりでそう言われてもな、と思う。

「うーん。なんか全然イメージわかないです」

「だから、それもらったんだろ?」

私が今手にしているパンフレットを指さされた。
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