人事部の女神さまの憂いは続く

「どうせ、信じらんないって思ってんでしょ。でも、ほんと。ずっと好きだったの。
 だけど崇が彼女なんていらないっていうから、そういう関係だけでもって思ってた。実際、続いてるのは私だけみたいだったし、一番私が近くにいるんだって正直うぬぼれてた。いつかは彼女になれるんじゃないかって。むしろ彼女みたいなもんじゃないかって・・・。
 だけど何も言わずに会社辞めちゃうし、その後も連絡くれないし。で、ようやく私のことなんて崇はこれっぽっちも気にかけてなくって、他の女と一緒なんだってわかったんだ。
 それでやけになってた時に傍にいたのが今の旦那。なんかどうでもよくなって旦那の勢いに押されて、そのまま結婚したってわけ」

そこまで言って手に持っていたグラスの中身をぐいっとあおるように口に入れている。予想外すぎる事実に、思ってもなかったこいつの想いに、なんて反応をしていいかわからずにいると

「ねぇ、奥さんってどんな人?」

さっきまでとは違う、平坦な声で聞かれた。
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