人事部の女神さまの憂いは続く

ここでどう答えるのがベストなのかわからないけど、俺が一番大事にしたいもの、一番誠実でありたい人の姿を思い浮かべる。

「すげーいい女。ずっと欲しくて、ようやくこっち向いてくれたから、丸め込んでさっさと入籍した」

言葉にしながら侑里のはにかむような顔が思い浮かんで、自然と口元が緩んでしまう。すると、ふっと隣で笑う声が聞こえた。

「なんかバカらしー。そんなこと言っちゃうし、そんな顔もするんだ」

さっきまでの剣幕さがなくなって、ほっとしていると

「結局、相手の問題ってことか。会ってみたいな、その“すげーいい女”。2次会とかやるなら、呼んでよ。どうせ、山本くんとか参加でしょ」

言いながら立ち上がり、こっちに振り向いて、きれいな笑みを見せた。

その表情が昔みたものと同じで、この自信満々な顔がこいつらしいと思って、ようやくほっとした。

すると返事を聞かないまま

「またね」

と背を向けて、会場の中心に進んでいってしまった。

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