恋文参考書




カシャン、と最後のホッチキスをとめる。

紙のずれもなく綺麗に仕上がった部誌を手に、大きく伸びをした。



「部誌、完成でーす」



部室にいたみんなで大きく息を吐く。



1枚ずつ紙を重ね、ホッチキスで冊子の形にする。

それぞれ役割分担をして、黙々とこなした流れ作業がようやく終わりを迎えたことにほっとした。



あたしのせいで予定より少し作業に入るのは遅くなってしまったけど、まぁ無事に出来上がってよかった。



薄いブルーの表紙を見つめてうん、と頷く。

今回の表紙は冬らしい雪のデザインだから、この色がよくあっている。



「みんなお疲れさま〜」



はあ、とため息と共に身を伏せながらの言葉につられ、みんな口々にお疲れと声をかけあう。

部誌の作業を業者には一切頼まないことでお金はかからずに済むけど、仕事は増えるからね。

みんな完成した時は脱力してしまうんだ。



印刷を頑張ってくれたふみや、隣であたしとホッチキスどめをしていた一条。

詩乃は印刷中に使用した試し刷りの紙の処理、それに原稿の元データの整理もしてくれていた。

他の部員も紙を重ねる作業を終わるまでぐるぐると繰り返してくれて、本当みんなよくやった。

あたしも含めて頑張ったね!






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