好きになれとは言ってない
「やっぱり、クリスマスコンパにします?
 私、トナカイの格好とかしてもいいですよ。

 所詮、太鼓持ちですし」
と遥は笑う。

 何故、トナカイ? と思ったが、そころからいろいろ考えて、
「そうだな、トナカイにしろ」
と言った。

 着てろ、着ぐるみ。
 ミニスカサンタとか絶対、不許可だ。

 似合いすぎる。

「トナカイがいいだろう。
 あったかいし。

 お前、寒がりみたいだから」

 雪の日、もこもこに着込み、帽子を被って、口許も隠れるほどのマフラーをした遥が、会社のロビーで、同期に、
『おはよー』
と言って、

『誰っ!?』
と驚かれていた去年の冬を思い出し、そう言った。

「あー、そうか。
 毛皮ですもんねー」
と遥は頷く。

「……お前、トナカイの毛皮を剥いで着る気か」

 ポリエステルだろ、と言っている間に、遥の家が見えてきた。




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