好きになれとは言ってない
月曜日、早めの電車に乗った遥は、ホームに航の姿を見つけた。
やはり、この電車だったか、と思っていると、こちらに気づいたらしい航が違う車両に乗ろうとしていたようなのに、来てくれた。
「おはようございます。
この間は、ありがとうございました。
あれから、トナカイ探したんですよー」
と言うと、
「毛皮を剥ぐのにか」
と言われる。
「……着ぐるみですよ」
いや、私の言い方も悪かったかもしれないが、生きたトナカイを探して歩くわけがないではないか。
それとも、ジョークなのだろうか?
真顔なので、此処で笑っていいのかわからない、と思いながら、並んでつり革をつかんでいた。