好きになれとは言ってない
 凝った味付けでなく、やはり、ケチャップ!

 この匂いがたまらないっ、と遥は拳を作る。

 オレンジの中の緑のピーマンが目にも鮮やかだ。

「喫茶店のスパゲティって、なんでこんなに美味しそうなんでしょうね」

 思わずそう呟き、
「パスタじゃなくてスパゲティなんですよっ」
と力説するとと、

「それ、ディスってんの?
 一応、メニューには、パスタって書いてんだけど」
と真尋が笑う。

「いえいえいえ。
 最上級に褒めてるんですっ」
と言うと、航が、なんだ、そんなに好きなのか、という顔をして、

「じゃあ、食え、遥」
と言ってきた。

 えっ。

 ほら、と鉄板をこちらに押してくるが。

 ええええっ?
 でもそれ、大魔王様が食べてたフォークですよねっ、と赤くなったまま、手を出さずに眺めていると、
「はい」
と真尋がフォークを出してきた。
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