好きになれとは言ってない
 出しておいて、
「ああ、ごめん。
 余計なことしちゃった?」
と航を振り返り、からかうように笑う。

「ところで紅茶飲んでよ」

 ああっ、すみませんっ、と既に出されていた紅茶にようやく気がついた。

 つい、ナポリタンに目を奪われていたが、琥珀色の美しい紅茶だ。

 そういえば、紅茶としか頼まなかったけど、なんの紅茶なんだろうな。

 一口、口にし、いつも飲むのより、香り高い感じだな、と思う。

「はい」
と目の前にスコーンののったお皿が置かれた。

「紅茶といえば、スコーンでしょ。
 今日はもう閉店だからあげる」
と真尋が微笑んで言う。

 この微笑みを見るために通いつめる人とか居そうだな……と思いながら、
「ありがとうございますっ」
と頭を下げた。

「っていうか、今日はいいよ。
 兄貴もタダで。

 彼女連れてきた記念ってことで」

「えっ?
 いえ、私はただの通りすがりの……」

 航は、通りすがりってなんだ? という目でこちらを見ながら、
「幾らだ」
と言う。
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