好きになれとは言ってない
「あ、ありがとうございます」

 確かに、いい店だ。

 スコーンもいただいてしまったし、これは、ぜひ、宣伝せねば。

 ただ……ひとりでは二度と来られない気もするのだが。

「ところで、もう店閉めるから、二人とも送っていってあげようか」
と言われる。

「えっ。
 私はいいですっ」
と手を振ると、

「なんで?
 僕に家を知られないようにとか?」
と真尋は笑って言ってくる。

「そ、そうじゃなくて、ご迷惑かなって」

「全然ご迷惑じゃないよ。
 久しぶりに兄貴ともゆっくり話したいしね」

 ついでついで、と言いながら、真尋は店の戸締まりを始めた。






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