好きになれとは言ってない
 別になんら恥じるところはない。

 なにを理由にしようと、頑張って働いているのだから。

「今日、看護師さんたちに訊いてみられたらいいですよ。

 たまには、違うお店がいいですかって」
と言った遥は、はた、と気づく。

 看護師さんって美人が多いよね、と。

 あの白衣がまた二割増に綺麗に見えるし。

 にこやかに……

 いや、そんな新海航は見たことがないのだが。

 妄想の中では、にこやかに美人看護師たちと、お茶をし、話している航の姿が頭に浮かんだ。

 なんかケーキ買いたくなくなってきた……。

 いやいや、待てよ。
 確かにうちに来る看護師さん、ほとんど、おばちゃんだったよな。

 ああでも、おばちゃんでも美人だったかもっ、と妄想の中でのたうちまわっている間、航は前を向いて、黙って運転していた。

 ちょっと不安になってくる。

「……あの~、課長、なんか機嫌悪いんですか?」
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