好きになれとは言ってない
 



 スチール棚の並ぶ倉庫の隅で、遥はケーキの箱を開ける。

 つやつやのチョココーティングに金の飾り。

 中はチョコムースだ。

 小振りで可愛い。

「ふふ。
 美味しそうでしょ」
と選んだだけなのに、勝ち誇ったように言ったが、小宮は、

「じゃあ、見といてやるから、食べなよ」
と言ってきた。

「え?」

「仕事中にケーキ食べてちゃまずいだろ。
 幾ら大事な新海課長にもらったものでも」
と言われ、

「いえいえ。
 誰にもらおうと大事なケーキですよ」
と言って、

「本気で色気のない古賀遥。
 さっさと食え」
と言われてしまう。

「じゃあ、半分こしましょう」
とついていたフォークで切ろうとすると、

「いらない。
 ちょっとからかっただけだよ」
と言われたのだが、

「なに言ってるんですか。
 一緒に食べて、共犯になりましょう」
と主張する。
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