好きになれとは言ってない
「それにこれ、本当に美味しいんです。
 せっかくだから、食べて欲しいです」
と小さく切って、フォークに突き刺し、

「はい」
と差し出すと、一瞬、止まった小宮に、

「ちょっと待って。
 これって、世に言う、はい、あーんって奴じゃない?」
と言われた。

 そう言われてみれば、そんな気も……。

「す、すみませんっ。
 ご自分でお食べくださいっ」
とフォークを渡すと、小宮は、

「では遠慮なく」
と食べたあとで、フォークを返しながら、

「いいの、それ、僕が食べたあとのフォークだけど」
と笑う。

「あ、じゃあ、拭きますよ」
と笑って言うと、

「……いや、拭けって意味じゃないよ。

 大丈夫?
 女子として」
と同情気味に言われた。






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