好きになれとは言ってない

 


 あー、美味しかった、と倉庫を出て、小宮と別れた遥は、その辺のゴミ箱に証拠を隠滅し、機嫌良く廊下を歩いていた。

 すると、いきなり腕を引っ張られ、給湯室に連れ込まれる。

 ひいっ、と思って身構えたが、引きずり込んだのは亜紀だった。

「ちょっと、遥。
 話があるんだけど?」

 なななな、なんでございますかっ? と今、やましいことをしてきただけに怯えていると、
「あんた今、小宮と二人で倉庫から出て来なかった?」
と亜紀は訊く。

「で、出て来ましたね……」

「あの倉庫、普段取りに行くような備品ないでしょ」

 しかも、他所の部署の男と、と言われてしまう。

「あんた、二人は許さないわよ。
 イケメン二人も持っていくのは」

 ひ、一人なら許されるのですね。
 意外と心広いな、と思いながら、

「す、すみません。
 ……じ、実は新海課長にお使いのお駄賃にいただいたケーキを隠れて食べようとしたら、小宮さんに見つかって、一口あげたんです」
と白状した。

「死ぬ程くだらなかったわね……」
と言われ、手を離される。
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