好きになれとは言ってない
 にやりと笑って言ってきた。

「さては、ナポリタン食べに来たね」

「なっ、なんでわかったんですかっ」
と言うと、

「だって、珈琲嫌いでしょ?」
と笑う。

 い、いや、嫌いとは言わないのですが。

「座ったら?」
とカウンターの席を勧められた。

 はあ、では失礼して、とスツールに腰掛けると、少し離れた位置に座っている綺麗にお化粧したOLさんがこちらを睨んできた。

 さっきまで、かぶりつきで、真尋と話していたらしいその人が、
「誰?」
と真尋に訊いている。

「ああ、兄貴の彼女」
と言うと、コロッと彼女は態度を変えた。

「あ、そうなの?
 初めまして」
とにこやかに話しかけてくる。

 ……さっき、睨みましたよね、と思ったのだが、彼女の中では、真尋さんのおにいさんの彼女、イコール将来は身内、という感じなのかもしれない。

 なんかその変化もちょっと可愛らしくもあるし、これ以上睨まれても怖いので、彼女じゃないです、という一言は吞み込むことにした。
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