好きになれとは言ってない
「はい、お待ちどうさま」
と鉄板に載った焼きそばがふたつ。
遥と航の前に置かれる。
「いい匂い」
と深く、その香りを吸い込んでいると、
「頼んで正解だろ」
と航に言われた。
はい、と箸を割ろうとしたとき、窓際に座っていたOLさんたちが、顔を突き合わせ、こそこそ話したあとで、恥ずかしそうに言ってきた。
「あのー、こっちにも焼きそばひとつ」
二人で分けて食べるようだ。
「……了解」
と真尋が苦笑いして言う。
そりゃ、この匂い嗅がされたら、食べたくなりますよねーと思いながら、ご機嫌で食べようとしたが、おやっ? と思った。
「あれっ?
課長のと私の焼きそば、なにか違います」
と焼きそばを見つめると、
「そう。
何処が違うでしょうか?」
と笑って真尋が言い、
「間違い探しか」
と航が嫌そうに言っていた。
遥は、じーっとふたつの焼きそばを見比べる。