恋はたい焼き戦争
「…ふう。
あれ…かえで?」
怪談話モードに入っていた部長がやっと元の部長に戻って初めて私たちの異変に気付く。
かえで君は白目を向いて気絶していて、
まーくんは部長の話が聞こえないよう耳を塞いで下を向き、
私はもはや別のことを考えていた。
他の部員たちもそんなような状態で、少しの物音にも過敏に反応していた。
…私、これからお風呂なんですけど。
一緒に入ってくれる人もいないんですけど。
…鏡見たら、ダメなものが見えそうな気がするんですけど。
「…うぅ」
なんでよりによって怖い話するかな。
夏の恒例みたいになってるけどさ…
夏になるとそういうテレビ番組も放送されるけどさ…
家ならまだしも、初めて来た宿泊施設。
気が気じゃないよね、どうしよう。
「鈴?」
私の顔色が悪くなっているのか、部長が心配そうに声をかけてくれた。
「お、お風呂…」
「ん?まだ入ってないのか」
「怖くて行けないです…」
「えっ…」
そんなにか!と心底驚いたような顔をしてから、部長は少し考えこんでこう言った。
「俺と話しながら、なら怖くないか?」