恋はたい焼き戦争


「えっと…?」





部長が言うには、私がお風呂に入っている間ずっと電話で話してくれる…そういうアイデアらしい。





「は、はい…!それなら大丈夫だと思います」

「そうか!
あぁ…でも携帯が水没する可能性があるな…」

「私、こんなもの持ってきてます!」





そうしてキャリーバッグから取り出すのは、お風呂で使えるスピーカー。


Bluetooth対応で、音楽を聴けるように…って持ってきたのがこんなふうに役立つなんて。





「えっと…じゃあ、行ってきます!」

「ああ、行ってらっしゃい。
俺はここで待ってるよ」

「ありがとうございます…!」





部長がいるっていう安心感で、なんとか怖がらずにお風呂場まで来れた。





「部長?」

「鈴。大丈夫か?」

「はい…なんとか」





それからは演劇の話をしたり、みんなの話をしたり、さっきまで怖がってたことなんて忘れるくらい話に夢中になっていた。


時折、シャワーの音でお互いの声が消えちゃったりして、お化けの仕業?!なんて背筋がゾッとすることもあったけど。





「おかえり」

「ただいまです。
本当にありがとうございました…!」

「俺が怪談話大会なんて始めたのが悪かったからな…」





部長は少しだけ後悔していたみたいで、いつもなら大きい背中がしゅんとしていた。
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