恋はたい焼き戦争


「なん…だよ。それ…
それじゃあ…兄貴があんまりじゃねえか!!」

「いいんだ昴。僕はそのために紺野家に来たんだから」

「ふざけんな…!!」





そう言って、昴は走り出してしまった。





「匠さん…!」





対する匠さんは、ふるふると首を振る。


でも、ここで昴を1人にしてしまったら…


私は急いで、昴が行った方向に走った。



今、昴が怒ってるのは秘密にされてたからじゃない。

ずっと黙ってたからじゃない。


…匠さんのことを想って、でしょ?





「…はぁ、…はぁ…」





無我夢中で走って、海まで来た。


昴の姿も見える。





「…昴?」

「鈴…」





彼の背中はいつにも増して小さく、狭くなっていた。


その目は悲しみを帯び、口を固く紡いでいた。


…なんて辛い光景なんだ。


匠さんも、昴も傷付いている。


それでもお互いを想いあってる証拠に他ならない。
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