ほしの、おうじさま
その間に立て続けにオペレーターさんが一人また一人と出勤して来て、ほどなくして早番のメンバーが全員揃った。

つまりお問い合わせ窓口の開始時刻が10分前まで迫って来たということだ。

それを察知した私と渡辺さんは作業を中断して部屋の前方へと歩を進め、フロア内を見渡せるように置かれているデスクの横に並んで立った。

ほぼ同時に、隣の部屋でやはり始業準備をしていたマーケティング課長と先輩社員二人もオペレーター室へと移動して来て、私達と横並びになる。


「よし。それじゃあ朝礼を始めましょうか」


課長はそう声を張り上げ、オペレーターさん達を自分に注目させた。

連絡事項や注意点があった場合にそれを伝えたり、反対にオペレーターさんからの質問を受け付けたりする、毎朝8時50分過ぎから始まって数分で終わる恒例行事。

ちなみに今日は課長がいるけれど、彼が遅番の日は朝礼の進行は係長の役目であった。


「……という訳で、私からの連絡事項は以上です。何か質問はあるかな?」


問いかけながら課長は室内を見渡し、しばし皆さんの反応を窺った後、再び声を発した。


「特別ないようだね。それでは本日もよろしくお願いいたします」

「お願いいたします」


お約束の言葉で朝礼が終了した後、課長達は隣の部屋へと戻って行ったけれど、私と渡辺さんともう一人のオペレーター室担当の先輩社員はそのまま室内に留まった。
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