ほしの、おうじさま
もちろん、雇用形態が異なるのだからきっちりと区別しなくてはいけない面もあるけれど、「それ以外であえて立場の違いを意識させる必要性はない」という認識らしい。
「ひとつ屋根の下で働く大切な仲間なのだから」と。
上に立つ方がそういう考えを当たり前のように抱いてくれているというのが、一社員としてとても嬉しいし誇らしい。
0to0がここまで大きく発展したのは管理者のそういった心根、心意気が要因の一つであるのは間違いないだろう。

なんて事を考えながらも同時進行で何を飲むか決断を下し、対象物の前へと移動した。
まだ何となく肌寒いので、ひとまず温かい紅茶をチョイスする事にする。
カップを所定の位置に置き、『紅茶/温』のボタンをプッシュした。
一度押せば規定の量に達した所で自動的に止まるので、後は放置だ。
この後これを自分のデスクへと持ち帰り、しばしの休息タイムを楽しむのである。
と言っても時間内に急いで飲み終わらせる必要はなく、その後も机上に置いたまま、仕事の合間に口にして良い決まりだった。
それぞれのデスクの左側には同素材でできた、高さが同じで幅50センチ程のキャビネットが置かれていて、飲み物は必ずその天板に乗せるように指示されている。
万が一カップを倒してしまったとしても、端末機や書類に被害が及ぶ可能性は限りなく0に近くなるからだ。
< 115 / 241 >

この作品をシェア

pagetop