ほしの、おうじさま
しかしそこで気を抜いていると次から次へと増えて行ってしまうだろうから、すぐさま布巾を手に取り、作業を再開する。

今度は最初からトレイをカゴの横にセットしておき、拭き取ったらそのまま乗せていくことにした。

すると突如、福田さんがクスッと笑いを漏らす。


「あ、ごめんなさい」


「?」と思いつつ視線を向けた私に対し、彼女は慌てて謝罪した。


「いきなり笑うなんて失礼ですよね。でも、なんか星さんて、動作とか仕種とか立ち居振舞いとかが、すっごく可愛らしい人だな~と思って」

「あ、私も思った。一所懸命、せっせと動くのよね」

「ですよねー?」


そこで同調して来た伊藤さんに向けて、福田さんは興奮気味にそう返す。

お二人とも推定年齢は30代半ばくらいで、社会人としては私より大分先輩だと思うのだけれど、正社員であるという点で気を遣って下さっているのか、ずっと敬語での会話が続いていた。

しかし、今のやり取りで一瞬お二人が素に戻った感じになり、伊藤さんがくだけた口調だったことから、彼女の方が若干年上なのかな?と思った。

もしくはオペレーター歴の違いによる言葉使いの差なのか。


「なんか、アレみたいだなーと思って。からくり仕掛けでカタカタいいながらお茶を運んで来る、お人形さんがあるじゃないですか」

「あ、茶運び人形?」

「そうそう、それです!」
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