ほしの、おうじさま
「えっと…。もしかして、私の同期がお二人に対して、何か失礼な振る舞いをしたという事でしょうか?」

「いや、あの…」

「ごめんなさい。ホントに何でもないんですよ。気にしないで」

「もし何か心に引っ掛かった事があるなら、ぜひとも誰かに報告して下さい」

しどろもどろの福田さんに代わり、伊藤さんが話を締めくくろうとしたけれど、私はおずおずとしながらもそう提案した。

「私自身が先輩方に言われていることなんです。業務を円滑に遂行する為にも、報告連絡相談は欠かさず行っていこうって。そしてそれは派遣さんも当然同じハズです。もちろん、私自身にはまだ何もできませんし、単独でお役に立てるとは思えませんが、たとえばお二人からお話をお聞きして、それを先輩や上司に報告するくらいの事はできますので」

「あ、いや、そこまでの対処は全然求めていないんですよ」

福田さんは湯沸し器のお湯を一旦止めてからそう返答した。

「むしろ、あんまり話が広がって行っちゃうと困るというか…。基本的に私達派遣は就業場所で何か不都合な事があった場合は、派遣元の営業担当に相談して指示を仰ぐ決まりになっていて…」

「あ、そうなのですか?」

「ええ。もちろん、日常的に行う処理についてだったらいちいち営業を通して答えを待ったりはしないですけどね。それは派遣先の社員さんにダイレクトに質問してしまいます。でも、この件に関しては…」
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