ほしの、おうじさま
「それじゃあ、新人の野崎さんが一人で残されてたってことだよね。まだ社内と社外の人間の区別がついてなくて、とっさに何て言ったら良いのか分からなかったか、もしくはカウンター内で何か作業をしている最中で、気付くのが遅れたとか…」

「前者に関しては首に下げてる社員証を見れば判断できるハズだし、そもそも相手が誰なのか分からないのならばなおさら無視しちゃマズイと思うんだよね。お客様である事前提で何かしら挨拶しておかないと。万が一自社の社員に「いらっしゃいませ」と言ってしまったとしても、笑い話で済むんだし」

「そっか…」

「そんで、その時野崎さんは別に何をするでもなく、普通にカウンター内に座ってロビーを見渡してたらしいわよ。一人取り残されて不安がってる様子はなかったみたい。むしろ、先輩がいないからこそサボリモードだったんじゃないのかな」

「う~ん…」

「とにもかくにも、新入社員がそれぞれの部署に配属されてからまだそんなに日数が経っていないってのに、もうすでに一部の先輩社員にそんな風に反感を持たれてるっていうのが何だかすご過ぎるなーと」

「うん…」

「そしてそれは氷山の一角で、他にも敵を作っている可能性は高いんじゃないかと個人的には推測してる」

『まさしくその通りなんだよ』とは思ったものの、私が話を広げるべきではないと判断し、派遣さんとのトラブルはあえて口にしなかった。
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