ほしの、おうじさま
富樫さんは肩をすくめ、なげやりな口調でそう話を締めくくった。

「あ、ごめんね星さん」

しかしすぐにハタと気付いたよう表情でそう声を発する。

「帰る所だったのに呼び止めて、バトルに巻き込んだあげくにこんな場所まで誘導しちゃって。だいぶ時間取らせちゃったね」

「あ、ううん」

私は慌てて返答した。

「そもそも富樫さんが野崎さんと言い合うきっかけになったのは私だし…。それに今後の参考になる、貴重な話を聞けたから」

「そうそう。その先輩方はもちろん、星さん自身も不愉快な目に遭わされたうちの一人なんだから、もう無理して野崎さんと関わらなくても良いと思うよ」

「うん…」

「さて、それじゃあ行こうか」

『ぜひともそうするわ』と言いきるのも何だか躊躇われて、曖昧な返事をしてしまったけれど、富樫さんは気にした風もなくそう言いながら歩き出した。
当然私もそれに従う。

「もうあの二人帰ったかな?さすがにさっきの今で顔を合わせるのは気まずいわ」

「そうだよね」

などと会話している間にエレベーター前まで到達したので「じゃあね。お疲れ様」「うん。お疲れ様」と挨拶しあい、そこでお別れした。
その後、富樫さんの行く末が心配で、やきもきしながら日常を過ごしていたけれど、数日経ったある日の夜、彼女よりメールが届いた。

『例の女子会だけど、残りの4人は来るらしいから予定通り開催するわ』
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