ほしの、おうじさま
渡辺さんのようにとっさには言葉が出なかったけれど、私も同じ気持ちで思わず右手で口元を覆ってしまった。


「それで急遽早退させていただく事になりました。部長や他の早番メンバーは把握しています」

「そっか。了解」

「ご迷惑おかけしますけど、よろしくお願いいたします」

「いやいや、そんなの気にしないで。早くおじいさんの所に行ってあげてよ」

「わ、私もそう思います」

「ありがとうございます…」


神妙な表情でそう答えた後、高根沢さんは続けた。


「それで、俺今日お茶当番だったんですけど、この後の処理を星さんに代わってもらっても大丈夫でしょうか?」

「ああ、うん。ある程度イレギュラーな動きができるのは今のところ星さんだけだもんね」


渡辺さんは頷きながら返答する。


「その間俺がフォローすれば良いんだし、大丈夫だよ」

「良かったです。…という訳なんだけど、お願いできるかな?星さん」


言葉の途中で私に視線を移しながら確認して来た高根沢さんに、私は急いで答えた。


「もちろんです。お任せ下さい」

「次に星さんが当番の時に、俺が途中から代わるからね」

「はい」

「決まりだね。それじゃあ高根沢君、一刻も早く帰った方が良いよ」

急かす渡辺さんと同意である事を示すべく、私はコクコクと大きく頷く。


「すみません。それではお先に失礼します」

「うん。気をつけて帰ってね」

「お疲れ様でした」
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