ほしの、おうじさま
「まさかお前いっちょまえに、返事を長引かせて星野の事を焦らしてやろうなんて考えてるんじゃないだろな」

そしてさっそく話を再開した。

「え?別にそういう訳では…」

「やめとけやめとけ。お前はそういうキャラじゃないんだから」

阿久津君は右手をヒラヒラと振りつつ言葉を繋いだ。

「恋の駆け引きなんかしてる場合じゃねぇって。とっとと捕まえておかないと、あっさり心変わりされちまうかもしれないぞ」

「う、うるさいな~」

偉そうなアドバイスに心底カチンとしつつ反論する。

「乙女心は色々と複雑なんだからね。それまで深く願っていた事でも、いざそれが叶ったりすると、嬉しい反面ちょっと怖い気持ちも沸き上がって来ちゃったりして…」

そうだよ。

自分で自分の言葉に合点がいった。
だから私は何だか疲労感を覚えていたんだ。
だって、ちょっと話を聞いただけでも、星野君の家系はかなりのハイスペックである事が窺えた。
平々凡々な育ちの私が、そんな華麗なる一族である星野君と、果たして対等に渡り合って行けるのかと、不安に陥り恐れおののくのは至極当然のことじゃないか。

「だからそんな簡単に、すんなりあっさり決断する事なんかできないよ」

「アホくさ」
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