ほしの、おうじさま
しかし阿久津君は私の主張をバッサリと切り捨てた。

「だったらせいぜい一人で悶々と思い悩んどけよ。俺には関係ねーし」

そしてそう言いながら歩き出す。

…え?

もしかして、これでもう話は終わり?
わざわざ場所を移動したのに、もう解散なの?

「あ、阿久津君っ」

私は思わずそう声を発しながら、彼の右腕をガシッと掴んでしまっていた。

「わっ。な、何だよ」

「え、えと…」

「ちょっと!」

するとその時。

「あんた、いい加減にしなさいよね!」

公園の出入口の方向から、怒りに満ちた女性の声が響いて来た。
反射的にそちらに視線を向けると、目を吊り上げ、顔を真っ赤にし、仁王立ちになっている野崎さんの姿が確認できた。

「え?の、野崎さん?」

「公園に入って行く姿が見えたから急いで追いかけてみれば…。何よその手は!何であんたはいっつもいっつも阿久津君と一緒にいるのよ!」

思わず固まってしまった私の下に、野崎さんはそう叫びながら足早に近付いて来た。

「もうこれ以上阿久津君にまとわりつかないで!」

そして手にしていたバッグを力任せに投げつける。
とっさに動く事ができなかった私の前に、阿久津君が素早く立ち塞がり、バッグは彼の脛にヒットしてゴトッと音を立てながら地面に落下した。
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