ほしの、おうじさま
「良い年こいてそんなしょーもない主張を押し付けて来るようなバカ女と、コミュニケーションを取りたいと思う訳がねーだろ」
「ひ、ひど…」
「ひどいのはどっちだ。被害者ぶるな」
完全に阿久津君に拒絶された事を悟ったのであろう野崎さんは、顔を歪め、足下のバッグを拾い上げると、急いで踵を返し、そのまま走り去って行ってしまった。
「…おー、いて」
身を屈め、改めて自分の脛を撫でながら阿久津君はブツブツと呟く。
「ぶつかった瞬間すんげー衝撃が走ったぞ。何が入ってんだ?あのバッグ」
「ご、ごめんね」
私は慌てて阿久津君の前へと回り込み、顔を覗き込みながら謝罪した。
「私のせいでこんな事になってしまって…足、大丈夫?」
「別にお前のせいじゃねーだろ」
上体を起こしながら阿久津君は淡々と答えた。
「それに、打ち身や捻挫はガキの頃から散々やって来たから。もう慣れっこだよ」
「でも…」
「しっかし、つくづく自分勝手な奴だよなぁ、あの女」
阿久津君は心底呆れたようにそう言葉を発した。
「しかも根本的に大いなる勘違いをしているし。俺達は別に仲睦まじく話してなんかいないっつーの」
「そ、そうだよね」
私は大きく頷きながら同意した。
「ひ、ひど…」
「ひどいのはどっちだ。被害者ぶるな」
完全に阿久津君に拒絶された事を悟ったのであろう野崎さんは、顔を歪め、足下のバッグを拾い上げると、急いで踵を返し、そのまま走り去って行ってしまった。
「…おー、いて」
身を屈め、改めて自分の脛を撫でながら阿久津君はブツブツと呟く。
「ぶつかった瞬間すんげー衝撃が走ったぞ。何が入ってんだ?あのバッグ」
「ご、ごめんね」
私は慌てて阿久津君の前へと回り込み、顔を覗き込みながら謝罪した。
「私のせいでこんな事になってしまって…足、大丈夫?」
「別にお前のせいじゃねーだろ」
上体を起こしながら阿久津君は淡々と答えた。
「それに、打ち身や捻挫はガキの頃から散々やって来たから。もう慣れっこだよ」
「でも…」
「しっかし、つくづく自分勝手な奴だよなぁ、あの女」
阿久津君は心底呆れたようにそう言葉を発した。
「しかも根本的に大いなる勘違いをしているし。俺達は別に仲睦まじく話してなんかいないっつーの」
「そ、そうだよね」
私は大きく頷きながら同意した。